尿の生成に関する仕事は、腎臓で行われています。尿管,膀胱,尿道は、できあがった尿を順調に体外へ放出する仕事を受け持っています。これらの器官の構造や働きは、男性と女性とで違いがあります。《排便の生理》
男性の尿道は長さが16〜20pであるのに対して、女性の尿道はまっすぐで約4〜5pの長さしかありません。
女性は尿道が短いため、膀胱炎を起こしやすく、高齢にな ると「おもらし」をしやすくなります。
男性の尿道は長いので、お年寄りの場合、排尿開始までに時間がかかることがあります。また、前立腺が肥大した場合、尿道を圧迫し、排尿時間が延びます。こういった排尿困難があると、尿が膀胱内に残って苦痛を感じます。
1日の尿量は、約1000ミリリットル〜1500ミリリットル
尿量は、水や塩分の摂取量,気温,発熱などのいろいろな条件によって変動しますが、身体の中の不必要な物質を排泄するためには1日500ミリリットル以上の尿量が必要です。
尿失禁(おもらし)とは、不随意に尿がもれてしまう場合をいいます。年をとるにつれて、尿道括約筋や骨盤底筋群が衰え、失禁しやすくなります。
また、膀胱炎のときなどのように、激しい尿意のため抑制がきかず、トイレへ到着する前に尿をもらしてしまう場合や、前立腺肥大症などで膀胱内に残尿が充満し、尿が少しずつもれてくる場合もあります。
高齢者と頻尿
年をとりますと、一般にトイレが近くなりますが、その原因は膀胱の収縮筋が敏感になって、膀胱が収縮しやすくなるためです。また男性の場合は、高齢になるにつれて膀胱の出口の尿道を取り囲んでいる前立腺が肥大してきます。これが原因となって頻尿にもなります。
夜、床に就いてから朝起きるまでの排尿回数も、加齢とともに増加します。これは膀胱容量が、若年者に比べて約半分近くに減ること、男性では前立腺が肥大して、残尿のために膀胱の有効な容量が減ることも原因ですが、もっとも重要な原因は、腎機能の低下と心機能の低下による夜間の尿量の増加です。
夜間頻尿は、1〜2時間毎の排尿のために疲労したり、熟睡感が得られなかったり、不眠になったりなど、日常生活に支障をきたすことが多いです。これらの苦痛を緩和するために、お年寄り自身が極度に飲水を控えたりすることがありますので、脱水状態にならないように十分配慮をします。
私たちの身体が正常に機能するために必要な飲水量は、1日に最低1000ミリリットルです。保温に気をつけ、夕刻以降の多飲を極力避ける工夫をすることが大切です。
| 腹圧性尿失禁 | 腹圧が急に加わったときに起こる尿もれです。 くしゃみ,咳やいきみ,縄跳び,重いものを持ち上げたとき,大笑いなどが引き金となります。 主に女性にみられます。女性の尿道が短いこと,お産などによって骨盤底の筋肉が緩むことが原因です。 |
| 切迫性尿失禁 | 急に尿をしたいという気持ちになり、トイレに行こうとするけれども間に合わずにもらしてしまうものです。 これは、膀胱の収縮筋が過敏になり、尿が少し膀胱内に溜まっただけでも収縮してしまうために起こります。 このような状態は脳卒中の後などによくみられます。 |
| 反射性尿失禁 | 尿意がないのに、勝手に膀胱が収縮して尿がもれてしまうものです。 脊髄の病気や脳障害により、尿が溜まった感覚がなくなる場合に起こります。 いつ流性尿失禁…尿が少しずつ絶えずもれているという状態のものです。 膀胱の出口や尿道に尿の流出を妨げる病気があるとき、男性では前立腺肥大症が進行した場合に特に多くみられます。 |
| 機能性尿失禁 | 膀胱や尿道の機能に障害はないのですが、認知症や大脳・小脳の障害によって、一人でトイレに行けないとか、トイレの場所がわからずもらしてしまう場合などです。 |
| 医原性尿失禁 | 医師によって投与された薬物などが原因となって生じた尿失禁 |
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基本の体操
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応用の体操 〜椅子に座って〜
床に着けた足は肩幅くらいに開き、背筋を伸ばして顔を上げて行う。 |
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応用の体操 〜ふとんの中で〜
仰向けに寝て足を肩幅くらいに開き、膝を立てた姿勢で肛門と膣を引き締め、5つ数える。 |
肥満・便秘を防ぐ…お腹に脂肪がつくと膀胱が圧迫されるため、切迫性尿失禁になることがあります。
| 動作を助けるもの | 工夫した下着(前開きパンツなど),てすり,杖,車椅子,リストなど |
| 集尿器具 | シビン,オマル,ポータブル便器,装着型採尿器 |
| 尿吸収製品 | パッド付きパンツ,おむつ,尿失禁用シーツなど |
| 急性便秘 | 急な環境の変化、たとえば旅行による食事内容や生活リズムの変化,興奮・不安・感動などによる精神的影響,また運動不足などにより排便の習慣がくずれ、一過性で便秘になることがあります。 原因が除かれるか、新しい環境になれることによって、便秘は解消されていきます。 | |
| 症候性便秘 | 腸管や腸管外の病気が原因となって便秘をきたすものです。 たいてい他の症状を伴います。例えば、腸閉塞,十二指腸潰瘍,虫垂炎といった病気では、腹痛を伴って便秘が起こります。 | |
| 慢性便秘 | 《機能性便秘》腸の働きの異常によるもの 《器質性便秘》腸そのものの異常によるもの | |
| 《機能性便秘》 | 弛緩性便秘 | 大腸の蠕動運動及び腸壁の筋肉の緊張の低下による便秘で、腸内容物の移送が遅延するために水分が吸収され過ぎて、原因としては繊維食品の摂取不足,食事量が少ないために胃・結腸反射が低下したことによる蠕動運動の機能低下, 排便に関与する腹筋力の低下などがあります。 |
| 痙攣性便秘 | 横行結腸,下行結腸,またはS状結腸の腸壁が痙攣性に収縮して直腸への送り込みが遅延するために、水分吸収も増加して便秘を起こすものです | |
| 直腸性便秘 | 直腸に便が送り込まれて便意が発生したときに、その便意を常習的に抑制すると起こります。 | |
| 腸の状態 | ||
| 器 質 性 便 秘 | 大腸狭窄![]() | 大腸腫瘍(癌)![]() |
| 便の性状 | 少量、硬 | 粘血付着、軟〜硬 |
| 機 能 性 便 秘 | 弛緩性便秘![]() | 痙攣性便秘![]() |
| 便の性状 | 多量、硬、太い | 小さい、硬(兎糞状) |
便秘の対応
便秘をみたとき、病気による便秘ではないかどうかということを常に念頭において、お世話をすることが大切です。便の形状やほかの症状の有無を観察することは、病気の発見に大変役立ちます。
高齢になると、運動不足や歯牙の欠損などから食事摂取量が少なかったり、消化に良いものを食べることが多くなったりするので、腸の刺激が少なくなるうえ、腹圧の減弱なども加わり、便秘がちになります。
高齢者の身体的状況については個人差が大きいので、その人の原因を探り、それらを助ける個別の対策を立てて対応することが大切です。
便秘の予防 排便習慣の確立 @毎日一定時間に排便を試みる。とくに胃・結腸反射の起こりやすい朝食後 は効果的
A便意を抑制しない(排便時間の確保)食事療法 @水分の十分な摂取(冷たい水や牛乳は胃・結腸反射に有効)
A栄養バランスの良い食事
B繊維に富む食品の摂取(野菜・果物・海藻・芋など)
C脂肪食品の摂取運動療法 @腹部のマッサージ(上行→横行→下行結腸へと”の”の字を描く)
A腹筋の増強運動
B自動的、他動的な全身運動の実施その他 @ストレス解消
A不安、恐怖などの精神的要因の軽減以上のことを努力して、それでも便秘になる場合には、薬物療法が必要となります。
下剤は、医師と相談しながら使うようにしましょう。
浣腸は一気に便が出るので血圧の変動を起こしやすく、高血圧や心臓疾患のある人、身体の弱っている人には注意が必要です。必ず医師の指示のもとに行うようにしましょう。
敵便(てきべん)は、便が肛門の入り口まで来ているのに、硬くて詰まっているときに指先で便をかき出す方法です。敵便をするときは、ゴムの手袋をはめ、人差し指の先にワセリンなどの潤滑油をつけて、腸粘膜を傷つけないように注意が必要です。
下痢の対応
下痢は風邪などの感染症,食中毒,急性腸炎などの腸の病気、食品アレルギーなどのときにみられます。また、暴飲暴食,冷え,不規則な生活,過労状態,精神的ストレス過剰のときなど、日常生活のなかでもよくみられます。
下痢をみたときは、まず病的なものか、そうでないかを区別しなければなりません。次のような症状がある場合は、受診の目安となります。
《排泄の援助》
排泄の援助の基本
《排泄のお世話をするにあたって》
介護者は、高齢者がどのような状態であるかを把握し、個々の状況に合わせて対応します。不必要な手助けや不適切な対応は、身体機能の低下を引き起こすことがありますので注意が必要です。
オムツの弊害オムツの使用は、高齢者の生活に大きな影響を与えます。
- オムツを当ててしまうと、ますます動けなくなっていきます。
高齢者の身体機能の衰えを助長し、トイレへ行けない高齢者を生むという悪循環を作り出します。- 次第に尿意・便意が失われ、失禁になってしまいます。
- オムツを使用することによって自尊心や自立意欲が低下し、寝たきりの生活になることがあります。また、人に頼る気持ちが強まったり、認知症症状が進むこともあります。
以上のことから、オムツの使用には慎重をきたしてください。